
様々な要因により眼の中の圧(眼圧)が上昇すると、眼の後ろについている視神経が圧迫されて、次第に萎縮し視野が狭くなり失明する可能性がある疾患です。
緑内障は眼圧が上がることで起こります。眼の中の水(房水)は図に示すように水晶体を吊り下げている毛様体という部分から眼の中に入り、角膜と虹彩にはさまれた狭い隙間(隅角)から眼の外に出ます。この流れの中で異常があると眼圧が上がります。
隅角が狭いことで起こります。隅角が完全に閉塞すると眼圧が非常に高くなり、猛烈な痛みを伴います。これを緑内障発作と言います。発作が起きたら48時間以内に治療を行わないと失明に繋がる危険な状態となります。このような隅角の狭い眼には事前にレーザーで水の抜け道を作って発作を防ぐようにします。
隅角は開いていますが、房水の出口が目詰まりしてるため眼圧が高くなります。急激に眼圧が上がることがないため、本人の自覚症状が乏しく、本人が気づかないうちにゆっくりと進行していきます。このタイプの中には眼圧がほぼ正常範囲なのに視野が狭くなっていく正常眼圧緑内障があります。早期発見が重要で、緑内障と診断された場合は、進行させないように長期にわたり治療する必要があります。
当院では緑内障が疑われる方に、これらの検査をすべて行うため、入院していただき緑内障か否かを正確に判定しております。また、治療方針に苦慮するような難症例にも対応しております。
現時点では眼圧を下げることにより進行を食い止める方法しかありません。それでも眼圧を下げることにより、進行にブレーキをかけることは可能なので、診断がついた時点で速やかにこれらの治療を開始します。
最初は目薬をつけることから始めます。現在、世界では大きく分けて5種類の作用機序が違う薬が用いられており、これらを組み合わせながら、眼圧をコントロールしていきます。
点眼だけで眼圧をコントロールできない場合は、内服薬を追加して眼圧を下げます。
隅角やその近くにレーザーを照射し、水の通り道を作る処置です。
急性緑内障発作で緊急に眼圧を下げる場合、点滴で一時的に眼圧を下げます。
上記の治療で効果が表れない場合は、最終的に手術します。もっとも確実に眼圧が下げられますが、手術後時間が経過して再び眼圧が上がった場合は、再手術が必要になることもあります。